東急電鉄は2022年1月7日(木)、国土交通大臣宛に鉄軌道旅客運賃の変更認可申請を行いました。
2023年3月の実施を予定しており、改定率は平均で12.9%とされています。現行の初乗り運賃はIC(1円単位)126円・きっぷ(10円単位)130円ですが、改定により10円程度値上げされIC・きっぷとも140円となります。その他の運賃区分は、改定率とおおむね同程度の値上げとなります。主要区間である渋谷駅から横浜駅までの運賃(現行IC272円・きっぷ280円)は、改定後はIC309円・きっぷ310円へと30円程度値上げされます(主な区間の普通運賃比較は下表を参照)。
なお、「鉄道均一制」を採用しているこどもの国の運賃は現行のまま据え置かれます。「軌道均一制」の世田谷線は10円程度値上げされ、IC・きっぷとも160円になります。
通勤定期運賃は改定率と同程度値上げ(こどもの国を除く)されますが、通学定期運賃については「家計負担に配慮し」値上げの対象外となります。利用者の負担増を緩和するため、子育て世代やシニア層に向けた施策なども併せて検討するとしています。
東急電鉄によると、ホームドア(センサー付き固定式ホーム柵を含む)、車内防犯カメラ、踏切障害物検知装置の100%完備を達成するなど、安全設備への投資は業界水準を大きく上回る規模で実施してきたとしています。その反面、設備維持に要する費用は年々増加しているとのことです。加えて、新型コロナウイルス感染症拡大によるテレワークなどの定着により、定期利用者の減少幅が同業他社と比較しても特に大きいとし、今後もコロナ前の需要水準には戻らないと想定されています。
2005年(平成17年)の運賃改定以来、消費税率変更による改定を除き17年間「業界最安水準」の運賃を維持しているとのことです。このような厳しい経営状況下でも鉄道インフラを適切に維持・更新し、将来世代に負担を先送りすることなく鉄道事業を継続するには現行運賃では極めて困難であるとし、運賃を輸送コストに見合う適正な水準に改定したいと説明しています。
東急電鉄は今後、東横線のワンマン運転対応や駅サービスのデジタル移行など、固定費削減や生産性向上のための事業構造変革を進めます。さらに、田園都市線・大井町線の車両更新、目黒線8両編成化、自然災害対策やテロ等防犯対策など、2025年度までの4年間で各年度450億円規模の設備投資を継続して実施するとしています。